Dr.インタビュー 財前先生「重症心不全の患者さんに補助人工心臓治療を広めたい。」

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入局を決めたきっかけはなんですか?

純粋に「循環器内科ってすごいな」と思ったことがきっかけです。
研修中に循環器内科を回っていたとき、心肺停止の患者さんが搬送されてきました。心筋梗塞が原因の心肺停止で、PCI後もECMOなどの機械的補助循環を要する重症心不全でしたが、治療を行って、その方が歩いて元気に退院していかれた姿に本当に感動しました。

また、父が循環器内科医であったため元々循環器には興味があったという部分もあるかも知れません。

最後の決め手は、心不全を専門にしている先生から心不全治療の考え方や血行動態などを理論的に教えてもらい、その面白さを感じたことでしたね。

心不全患者を診る際は、複数のデータから患者さんの血行動態を把握し、目指すべきところに向かってどういう介入をすればどう血行動態が変化するかを予測して治療を行います。その治療が予測通りにいき、患者さんが元気になっていく姿をみた時に一番面白さを感じます。

循環器内科医として、どのようなお仕事をされていますか?

現在は救命センターでICUの管理をしながら、補助循環が必要な重症心不全の患者さんの治療にあたっています

循環器内科医として大変だったことはありますか?

辛いのは、夜中でも急患が来て呼び出されることです。
「今からか」という気持ちになることもありますが、病院に着くころにはアドレナリンが出て「自分がなんとかしないと」という気持ちになって頑張れます。

そして、運ばれてきた時に苦しんでいた患者さんが楽になった姿を見ると、「やってよかったな」とやりがいを感じます。

ただ今は救命センターに勤務しているので、シフト制になっていて、オンコールがない環境で働いています。

どうやって大変なことを乗り越えていますか?

それはもう、頑張るしかないです(笑)。
気合と根性で乗り切るしかありませんが、意外とその時は勢いで乗り切れるものです。そこがやりがいにつながっている部分もありますしね。

また大分の循環器は優しい先生が多いので、困った時や大変な時は上の先生に相談して助けてもらいました。

循環器内科医を目指す方、学生に向けてのメッセージをお願いします。

循環器内科は大変な科ですが、一番やりがいがある科だと思います。

生命に直結する心臓を主に扱うので、死に直面している患者さんを助けられるという点では、大変かもしれませんが、その分、医師としてのやりがいは非常に大きいです。

今後の目標を聞かせてください。

僕は、心不全の中でも特にドブタミン(強心薬)から離脱できないような重症な方が自宅に戻って生活ができるように、植込み型補助人工心臓の治療を広めていきたいと考えています。

大分でも植え込み型補助人工心臓による治療は可能ですが、症例は少なく、まだ普及しているとは言えない状況です。

これまで、こうした治療があることを知らずに、心不全の末期だと諦められていた症例もあったのかもしれません。以前は心臓移植の適応がある方にしか使えませんでしたが、最近は移植を前提としない方にも装着できるようになり、適応の幅も広がりました。

こういった治療があることを広めて、大分でも植込み型補助人工心臓を装着して心臓移植への適切な橋渡しができるように、大学の心不全チームの一員として頑張っていきたいです。

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