入局を決めたきっかけはなんですか?
学生時代から循環器内科には興味がありました。循環器内科は学んでいて一番面白い科目だったからです。
その後、研修医として初めて循環器内科の患者さんを診察したり、カテーテル治療を行ったりして、「命に直結する病気を扱う科である」ということを改めて実感しました。
もちろん、他の科でも命に関わる病気を扱いますが、循環器内科には特にその印象が強くありました。
薬物療法やカテーテル治療を駆使して、命の危機に瀕していた患者さんが元気に退院される姿を見た時に、強いやりがいを感じ、入局を決意しました。
循環器内科医として、どのようなお仕事をされていますか?
私は循環器内科医として働きながら大学院に在籍しています。
今では減ってきているかもしれませんが、大学院生の働き方といえば、医師としての日中の仕事を終えてから、夜に研究を進めるというのが一般的なスタイルでした。
しかし、当科では髙橋教授が研究活動を非常に重視しているため、私たち大学院生は集中して自分の研究を行うことができる環境が整っています。
具体的に言うと、大学院生は病棟での患者さんを担当せず、週に半日の大学病院外来と週1日の大学以外の病院での外来業務のみで、それ以外の時間は研究に集中することができます。
他の大学院生の話を聞くと、通常の医師としての業務をこなしながら、夜や休日に疲れた状態で研究を進めることもあるようです。その点、私たちは研究に集中しやすい環境に恵まれていると日々感じています。
仕事のやりがいや循環器内科医を選んでよかったことはなんですか?
循環器内科を選んでよかったと思える瞬間はやはり、患者さんの命を救ったときです。
心筋梗塞など、今にも心臓が止まりかけている患者さんに治療を施しても、治療直後からいきなり元気になるわけではなく、依然として危険な状況が続くことも多くあります。
油断できない状況にも医療チームで協力して携わり、患者さん自身も不安の中で努力されて、回復をたどり、元気に歩いて帰る姿を見た時や、直接感謝の言葉をいただいた時に医師としてのやりがいを感じます。
循環器内科医として辛かったことはありますか?
先ほどお話ししたやりがいの一方で、循環器内科の臨床現場では緊急度が高く、迅速な対応が必要となる場面が多々あります。
患者さんやその家族から見ると、医者の年数は関係なく、皆「心臓のお医者さん」です。
目の前で患者さんの状態が悪化しても「まだ経験が少なくてどうすればいいかわからない」ということは患者さんには当然通用しませんし、瞬時の判断力と正確な知識が患者さんの命に直結する領域です。
そういった疾患を扱う医師であるという責任感と普段からの継続的な学習は絶対必要だと思っていますが、やはり、循環器内科医として働き始めたばかりの時は、わからないことも多く、それがプレッシャーとなることもありました。
また、全力で治療に当たった患者さんでも命を落とされることがあり、その現実を目の当たりにするのは非常に辛い経験です。そういったプレッシャーや辛い経験を乗り越えてこられたのは、頼り甲斐のある先輩方のサポートのおかげだと思っています。
循環器内科医を目指す方、学生に向けてのメッセージをお願いします。
循環器内科に興味がある方はぜひ、私たち循環器内科の先生に声をかけてほしいです。
自分が学生の時もそうでしたが、学問として循環器内科が面白いなと思ったり、カテーテル治療で心筋梗塞の患者さんを救っているのが格好良いと思ったりしても、「すごく忙しそうで自分の時間があるのかな?」とか、「心臓の病気って難解だし、その上素早い対応も求められる、そんなこと自分にできるようになるかな?」と不安に思うことがあると思います。
そういった不安や気になる点は、今循環器内科医として働いている私たちが以前抱いていたものでもあり、今誰よりもよく知っていることでもあります。ですので、少しでも循環器内科に興味があれば、ぜひ私たちに声をかけて遠慮せず質問してください。みんな怖い思いや楽しい思いを経験して、今一緒にやってきているので、ちょっと先の先輩もしくは仲間として話ができると思います。
今後の目標を聞かせてください。
直近の目標は、大学院で博士号を取ることです。
大学院に進むと、4年間は病棟や臨床から離れて研究に専念することになります。
4年間という長い期間を使うことに対して少し不安もありましたが、今ではこの4年間をしっかり活用し、大学院で得た知識や経験を将来に活かしたいと考えています。
実際に大学院を卒業された先生方は各病院でリーダーとして働いていることが多く、私もそのようになりたいと思っています。
大学院での経験が私のキャリアに大きな影響を与えてくれると思いますし、その成果をもって医療現場で貢献し、後輩たちにも良い影響を与えられるように努力したいと思います。